ホームPOZIコラム【Cannes Lions】デモできないなら、キスしよう!世界中からLGBTQの権利をラブリーに訴えまくるInstagramキャンペーン「KISS THE KREMLIN」

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【Cannes Lions】デモできないなら、キスしよう!世界中からLGBTQの権利をラブリーに訴えまくるInstagramキャンペーン「KISS THE KREMLIN」

【Cannes Lions】デモできないなら、キスしよう!世界中からLGBTQの権利をラブリーに訴えまくるInstagramキャンペーン「KISS THE KREMLIN」

世界最大の広告・コミュニケーションの祭典、「カンヌ・クリエイティビティ・フェスティバル」。受賞作の中からソーシャルグッドな事例を、WEBマガジン「greenz.jp」のライターでもあるPOZIプランナーの丸原による連載記事から転載してご紹介します。今回ご紹介するのは、ブラジルからの事例です。

LGBT総研の調査によると、日本でセクシュアル・マイノリティにあてはまる人の割合は、約8%。それは、左利きやAB型の人たちと同じくらいの割合だと言われています。当事者が声をあげ続けたこともあり、生まれながらの性別にとらわれない生き方を受け入れる動きが、世界で急速に広まりつつある様子。

ところが、こうした流れに逆行し、セクシュアル・マイノリティに対する締め付けを強めている国もあります。そんな国のひとつが、ロシアです。

もともと同性愛への嫌悪感が根強い文化もあり、ソ連時代は同性愛が刑法で「犯罪」とされていました。1993年になって同性愛は合法化されたものの、同性愛者に対する目は厳しく、2013年には「同性愛禁止法」が成立。その内容は、「18歳未満の者に対する同性愛の『助長』にかかわった場合に刑罰を課す」というものでした。

どうした行為が「助長」に当たるのかが曖昧なためにこの法律は拡大解釈され、ロシアではセクシュアル・マイノリティへの迫害が深刻化しました。同性愛者が集うクラブやバーの閉鎖を求める動きや、セクシュアル・マイノリティに対する暴力も頻発。2017年にはチェチェンで100人以上の男性同性愛者が拘束され、少なくとも3人が死亡するという事件が起こるまでになってしまいました。

こうした動きに抵抗しようにも、デモで社会に訴えかけることができない。当事者たちは、そんな悩みを抱えていました。というのも、路上でセクシュアル・マイノリティの権利を訴えることも、「18歳未満への同性愛の助長」とみなされ、捕まる恐れがあったからです。

そんな苦しい立場に立たされているロシアのセクシュアル・マイノリティを救うために立ち上がったのが、ブラジルの人権保護団体「SSEX BBOY」。路上で捕まったり暴力を受けたりすることがない、安全な抵抗運動のために彼らが活用したのが、SNSアプリのInstagramです。Instagramの位置情報を使うことで、その場で声をあげなくても、バーチャル上で特定エリアの政府への抗議が行えるような手法を提案したのです。

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SSEX BBOYは、 セクシュアル・マイノリティの人たちに、パートナーとキスしている写真を撮って、ロシアの大統領府や官邸があるクレムリン宮殿の位置情報をタグ付けし、ハッシュタグ「#kiss4lgbtqrights(LGBTQの権利のためにキスしよう)」をつけてInstagramに投稿することを呼びかけました。

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この呼びかけは、モデルのナオミ・キャンベルやケイト・モス、映画監督のマックス・ジョセフといった有名人の支持を得て世界中に拡散。Instagram上で68カ国の約5,800万人にリーチし、クレムリンをスポットとする投稿が、セクシュアル・マイノリティのキスで埋め尽くされるという事態に。やがて国連大使がセクシュアル・マイノリティの権利についてスピーチするなどの成果をもたらしました。

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リアルな世界ではタブーだったり、危険だったりして不可能なことも、バーチャル上では工夫次第であざやかに解決することができる。しかも、リアルな場では想像もできなかったような広がりやインパクトをもたらすことができる。もはやバーチャルな世界が現実を拡張させていると言える時代です。

デジタルというフィルターを通して見ることで、これまでの「不可能」の中に潜んでいた「可能性」を見出すことができるかもしれませんね。

(翻訳協力: Keita Komaiさん)
(Top Photo: Some rights reserved by Círculo LGBT Uniandino)