
4回目を迎える全国高校生の知の甲子園、Q-1の季節がやってきました!
今年は関西万博を会場に熱戦が繰り広げられ、POZI賞は、大阪教育大学附属高等学校平野校舎みなさんの探究「視覚障がい者の数学教育と空間図形を考える~すべての個性が生きる社会へ~」にお贈りしました。
Q-1とは「学校で与えられる知識ではなく、U-18 が自ら問いを設定して、好奇心のおもむくまま自発的に探究した研究発表会」。全国の高校生がチームごとに自ら設定した問いに取り組み、熱いプレゼンテーション、そして各専門分野の審査員からの鋭い質問に向き合う番組です。POZIは第1回から審査員としてご一緒しています。
「視覚障がい者の数学教育と空間図形を考える~すべての個性が生きる社会へ~」に取り組んだ大阪教育大学附属高等学校平野校舎チームのみなさんは、視覚障がい者にとって特に学びが難しい「空間図形」について取り組みました。
点字の教科書だけだと難しい、目が見えなくても空間が把握できるような教材開発のために何度も現場に足を運び、当事者や先生にヒアリング・実験を重ね、テスト機はトライ&エラーを重ね、彼らの持つ数学力をフル稼働で探究に取り組みました。見せてくださった複数の実験機からは、多くの苦労、そして熱い想いも垣間見えました。
チームメンバーにコメントをいただきました。
【どうしてこのテーマを選ばれたのですか?きっかけや想いを教えてください】
きっかけは本当に些細なことからでした。
幼い頃、スイカ割りや福笑いといった「目をつぶって行う遊び」を経験し、その面白さが記憶に残っていました。高校生になり数学が大好きになった頃、ふとその記憶がよみがえり、「目をつぶって数学をしたら、もっと面白いのではないか」と思い立ったのです。実際に目を閉じて問題を解いてみると──「なんだ!?難しいじゃないか!!」と驚かされました。
さらに、通学で利用していたバスに、視覚障がいのある方がいつも乗っておられ、その様子を観察することがありました。その経験から、「目の見えない人は、どうやって数学を学んでいるのだろう?」という疑問が生まれ、この探究へとつながっていきました。
【みなさんの探究が、どんな未来・社会に繋がっていってほしいですか】
障害の有無に関わらず、すべての人が共に学び合える未来につながってほしいと願っています。
現状では、どうしても障害の有無によって学べる内容や機会に差が生じてしまっているのが現実です。だからこそ、一人ひとりが持つ可能性が平等に尊重され、誰も取り残されることのない社会を実現したいと強く感じています。
共に学ぶことは、互いの違いを理解し合い、豊かな社会を築く大切な一歩でもあります。そのような社会を目指して歩んでいければと考えています。
【みなさんにとって「探究」とは何ですか】
探究とは、「なぜ」という問いを持ち続け、その答えを自ら創り出していく営みと考えます。
「探究」と聞くと、多くの人は難しく捉えてしまいがちです。しかし本来、探究は決して大層なものではありません。日常の些細な出来事に対しても「なぜ」と疑問を抱き、それを突き詰めて考えることこそ、立派な探究なのです。
もちろん、ただ調べるだけでは不十分です。自分なりの視点で「なぜ」に向き合い、答えを自ら創造することが大切です。「なぜ」は意識を向ければ、あらゆる場面に存在しています。そう考えると、探究とは一生を通じて私たちに寄り添うものだと感じられます。
素敵なコメントをくださった彼らのこの探究は、予選イベントから強く印象に残っていました。
それは数学が大好きな彼らが、 “同世代の視覚障がい者も数学を目指せるため”に取り組んだ探究だったからです。
受賞後に彼らと会話した際、「視覚障がい者がある人も一緒に、数学の道を目指す仲間が増えたら嬉しい」「同じ高校生だから好きな音楽のことなどで盛り上がった」など、その想いや視点は、大人の私たちの固定観念を軽やかに飛び越えており、大切な気付きをプレゼントしてくれて、明るい未来を感じることが出来ました。
2025年の「Q-1~U-18が未来を変える★研究発表SHOW」、ぜひチェックしてください!
放送日時詳細・配信については https://www.asahi.co.jp/q-1/
(POZI サステナビリティ・プランナー 町田葉子)