2019年10月24日、POZIプランナーの池上が、理事を務めているNPO法人・OWSの活動の一環として兵庫県宝塚市の学校法人雲雀丘学園を訪れ、『海洋ごみ問題と私たちの暮らし』というタイトルの講演をしてきました。対象は学園の中学3年生の皆さん。雲雀丘学園では30日から沖縄本島および八重地方へ、中学3年生の研修旅行を予定されており、そのための事前学習として、沖縄でも大きな問題となっている海洋ごみに関するレクチャーを計画されたようです。OWSへはメールを通じて講演のご依頼をいただき、池上が理事として、これまで見てきた各地の海洋ごみの現場で見てきたこと、感じたことなどをお話させていただくことになりました。
当日は雲雀丘学園の中学三年生の生徒さんたち、約160名の皆さん全員に学園内の講堂に集まっていただき、1時間ほどの間、お話をさせていただきました。会場で聞いてみますと、生徒さんたちはこれまで、海洋ごみの問題について深い関心を持っている人は少なかったようですが(もちろん、中学生ではそれが普通です。笑)、たいへん静かに、また熱心に話を聞いて下さいました。会場ではパワーポイントのスライドショーを使って、対馬や沖縄などの国内の各地や、太平洋のミッドウェー島等で撮影された写真を多数、見ていただきましたが、それに加えて実際にミッドウェー島で回収された日本のプラごみ(日本語が印刷されているディスポーザブルライターのごみなど)や、死んだコアホウドリのひなのお腹の中から出てきたプラスチックごみの現物なども持ち込み、実際に手に取って見てもらいました。スライドの写真もオリジナルなものばかりでしたが、やはり「実物」の印象は強力です。単に写真を眺めただけの場合よりも、よりリアルに問題を感じていただけたのではないかと思います。
講演終了後、校長先生や学年主任の先生などとしばらくの間、お話させていただいた後、最寄り駅に向かいますと、ちょうど生徒さんたちの下校時間と重なったようです。生徒さんたちが私を見つけてくれて、わざわざ挨拶してくれました。正直、これまで一度に160名もの中学生さんたちに向けて話をする機会はありませんでしたので、私の話もどのように受け止めてもらえたものか、あまり自信がなかったのですが、少なくとも声をかけてくれた生徒さんたちにとっては、そんなに悪い印象ではなかったのでしょう。少し安心しました(笑)。
雲雀丘学園の研修旅行では、砂浜でのビーチコーミングの他、スノーケリング等の自然体験や民泊、文化体験、平和学習なども予定されているそうです。盛りだくさんの内容ですが、研修旅行での体験が生徒さんたちにとって実りの多いものとなり、これからの人生を豊かに彩る糧となることをお祈りしております。またその際に、私が今回の「事前学習」でお話させていただいたことがわずかばかりでも役に立って、生徒さんたちの体験がより意味深いものになったとしたら、これ以上嬉しく思うことはありません。 生徒さんたちと沖縄の海に、素晴らしい未来がひらけますように。
(POZIプランナー 池上喜代壱)
追記
2019年10月31日早暁、沖縄県那覇市の首里城址で火災が発生し、復元再建された首里城正殿ほか、多数の文化的建造物が焼失したとのニュースが飛び込んできました。私は沖縄県民ではありませんが、首里城は県民の皆さんにとって、古への琉球王国の時代に続く文化的アイデンティティの拠り所の一つだったのではないかと感じています。かつての沖縄地上戦による焼失に続き、再びの焼失を経験された沖縄県民の皆さんの胸中を思うと言葉がありません。心よりお見舞い申し上げ、少しでも早い再建をお祈りいたします。