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ごみ箱の先にある、「あと50年」の最終処理。東京都廃棄物処分場見学レポート

いま海ごみが世界的に問題になっていますが、東京のごみ処理はいま、どのような状況なのでしょうか。

東京23区最後の埋立処分場を船とバスで見学できる、東京都観光公社の「海と陸からの見学会」に参加し、ごみ処理の最前線を見に行きました。

見学はまず陸から。竹芝小型船ターミナルから新東京丸という船に乗り、東京湾に浮かぶ「新海面処理埋立地」をぐるりと眺めます。

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私たちが出したごみは清掃工場に集められたあと、金属を回収したり、焼却、破砕したりといった中間処理を経て、埋め立てられます。

東京都のごみは過去最高となった平成元年の490万トンから分別が進んだことなどで減り続け、平成29年には277万トンになっています。とはいえ埋めたてるごみの量は膨大で、あと50年もすると最終処分場もいっぱいになってしまうそうです。

海から眺める街には、まだまだ開発中のところも。スクラップ・アンド・ビルドを繰り返す街は、ごみのことなんて考えていないように新しく生まれ変わり続けます。そこから出る産業廃棄物も膨大なはずです。まるで経済成長には限界がないかのように開発は止まりませんが、埋立地には限界があります。増え続けるごみは、どこで処理されるのでしょうか。

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海のあとは、昼食をはさんで、陸。今度はバスに乗り、中間処理する施設を経て、新海面処分埋立地に向かいます。

少しでも埋め立てに回す量を減らすために行われる中間処理。巨大な機械が動き続けていますが、その機械を動かすために、きっと大量の化石燃料が使われているでしょう。いつまでこうした大量のエネルギー消費を前提としたごみ処理を続けられるのだろうかと感じざるを得ませんでした。

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中間処理施設をバスの中から見たあと、バスはいよいよ新海面埋立処分場に。ごみの丘を登ったところでバスを降り、間近に埋め立て処理の現場を見ることができます。埋立地は、3メートルごみを積んだあと、50センチの土を載せることを繰り返す「サンドイッチ工法」でできあがります。そのため、ごみが舞うことや、害虫、悪臭の発生を抑えられるようになっています。また、護岸からごみの汚染物質が流れ出ないように、地盤は強固につくられています。この地盤づくりにも、膨大な費用がかかっているとのことでした。

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東京都環境公社のみなさんの願いは、いま50年と予測されている最終処分場の使用期限を、1日でも長く伸ばすこと。そのためには、分別はもちろんですが、そもそも、ごみを出さない生活を心がけないといけません。

ごみの問題は、海ごみだけではありません。大量生産・大量消費・大量廃棄の流れから、ごみという概念すらないサーキュラー・エコノミーの社会に少しでも早くシフトしなければいけません。

ごみ箱に捨てて終わり、ではなくその先があるのだとういことが実感できる見学ツアー。ぜひ、みなさんも参加してみてください。

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●東京都環境公社「海と陸からの見学会

(POZIプランナー 丸原孝紀)