ホームPOZIコラム【レポート】「捨てた後の事は知らない」で良いのか?-東京都環境公社主催の「中央防波堤埋立処分場と食品ロスを考える見学会」に参加

POZIコラム

【レポート】「捨てた後の事は知らない」で良いのか?-東京都環境公社主催の「中央防波堤埋立処分場と食品ロスを考える見学会」に参加

【レポート】「捨てた後の事は知らない」で良いのか?-東京都環境公社主催の「中央防波堤埋立処分場と食品ロスを考える見学会」に参加

2019年10月31日に、弊社環境推進担当からの呼びかけで「中央防波堤埋立処分場と食品ロスを考える見学会」に参加して来ました。弊社社員が参加した同処分場の見学は今年7月の「海と陸からの見学会」への参加に続き、2回目となりますが(その際のレポートはこちら  )、今回の見学会は「食品ロス」について考えるセミナーの後に処分場を見学する、半日コースへの参加です。

当日は朝、「東京テレポート」駅前に集合した後、全員で大型の観光バスに乗り込み、中央防波堤内側埋め立て地にある「東京都環境局中防合同庁舎」へ移動し、まず「食品ロスを考えるセミナー」を聴講します。「参加者はどれほどいるのだろう?」と思っていましたが、バスはほぼ満席に近く、「予想以上に多いな。」というのが印象でした。

同様の見学会は今年度3回行われ、そのたびに「セミナー」の講師や内容なども変更になるようですが、我々が参加した回では東京都環境局のほか、産業界から(株)セブン&アイ・ホールディングスさん、NGOから(公財)日本フードバンク連盟さんのプレゼンテーションがあり、また「ハッピー冷蔵庫アドバイザー」とし活躍している方からも、家庭での食品ロスを減らすための具体的なアドバイスなどがありました。仕事の上ではセブン&アイ・ホールディングスさんの取り組みが非常に参考になりましたが、生活者としては、家庭の冷蔵庫で発生する食品ロスを4つのタイプに分け、それぞれのタイプ別に異なる対策をとるという考え方は興味深く、今後生活者に向けてコミュニケーションしていく際の参考にもなるのではないか?と感じました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

さて、「中防合同庁舎」でのセミナーの後は同じ大型バスに乗って、廃棄物中間処理施設と埋立処分場の見学です。同行した弊社メンバーの中には前回の「海と陸からの見学会」にも参加した者がおり、彼らは今回で2回目の見学となりますが、私は初参加です。今まで街中や海岸、川岸などでのごみ回収には参加して来ましたが、それらのごみがどのように処分されるのか、「その先」を見ることはありませんでしたから、非常に新鮮な気持ちで見学させてもらいました。

中でも印象に残ったのは、不燃物の中間処理施設です。スペースには余裕があるように見えましたが、そうなったのはこの10年ほどのことで、それまで「不燃」としていたプラスチックごみを「可燃」として焼却に回したことによって、埋め立てる不燃物の量が1/10に減少したのだそうです。それ以前の不燃ごみ≒プラごみの量は処理施設に入りきらない程だったとのことで、このあたりにも、昨今の話題となっている「プラスチックごみ問題」の一端を感じることができます。東京都(23区)がプラごみを「可燃」としたのは、最終埋立量を減らすことが目的とのことでしたが、結果、プラスチックごみの焼却量の増大はCO2排出量の増大につながり、(日本国内ではほとんど認識されていませんが)国際的には、既に批判の対象となっています。日本政府も2070年ごろにはCO2排出をゼロにするという目標を立てていますので、東京でプラごみを燃やせるのもあと50年ほどのこと。そのころには既に私はこの世には存在していないとは思いますが(苦笑)、私の子供たちや孫(がいれば孫)たちは、プラスチックごみとどう付き合っているでしょうか?

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

またこれも注意して見ていたのですが、ごみ処分施設の内部や周囲には、やはりプラごみ等の若干の漏出が見られます。完全閉鎖型の施設ではありませんから、台風の際などには、強い風によって処理施設から外部にごみの一部が漏出する可能性なども否定できないのではないか、とも思いました。もちろん、それらの分量はごく僅かで、おそらくは0.1%とか0.01%とか、それ以下かもしれません。ただ、日ごろ海岸などで小さなごみを拾って歩いている人間としては、埋立地の地表から露出している若干のプラごみとも合わせて、どうしても気になる部分ではありました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
そしてバスは、広大な「中央防波堤外側処分場」に作られた「ごみの山」を登り、地上30mほどの頂上から、周囲を一望できる「みはらし広場」に到着、現在も埋め立てによる最終処分が続けられている「外側処分場」とさらにその外側、東京湾に張り出した「新海面処分場」を遠望します。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
羽田空港を発着する飛行機の姿なども目に入り、広大な処分場はどこまでも広がるように見えましたが、実は、プラごみを焼却して最終処分の残渣量を以前の1/10に減らしても、現在のペースで行けば、この処分場の容量は、あと50年分程度しかないそうです。

そしてその後のことは…。

実はまだ何も決まっていません。ただ少なくとも分かっていることは、もう東京の海面には埋め立てる場所が残っていないということ。これ以上の埋立は航路をふさいでしまうので、東京港内にはこれ以上埋め立て出来る海面が残されていないのだそうです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
さてでは50年後、2070年には、私たち(の子供や孫たち?)は、もうプラごみを燃やすことも出来ませんし、埋め立て処分することも出来ません。この処分場には、年間5万人、23区内の小学生の半分くらいが見学に来るそうですが、その小学生たちが大人になるころには、ごみをどうしたら良いのでしょうか?今のところ、少なくとも今のやり方の延長線上には、その「答え」は存在していません。

私たちは普段、オフィスのごみ収集所にごみを捨てたり、あるいは自宅でも、回収の日にきちんとまとめてごみ出しをしていれば、「その後」のことになどには関心がないのが“普通”ではないかと思います。「具体的にどうなっているかは知らないけれど、市町村などの行政がうまくやっていてくれるはず。」と、盲目的に考えてしまいがちです。

しかし(考えてみれば当たり前のことですが)ごみの処理は、「きちんと分別して収集日に出せば終わり。」ではありません。昨今の海洋プラスチック汚染に関しても、「ポイ捨てなどをせずに、きちんと分別して決められた収集に出せば良いだけだ。」と言う人がいますが、むしろその後、「ごみを出した後」にこそ、たくさんの未解決の問題がある。処分場の見学は、改めてそんなことを考えさせてくれる契機になりました。

実は経済学的な視点で考えれば、埋め立て処分場の残余面積も、私たちの経済活動に必要不可欠な「資源」の一つです。そして埋め立て処分場から発生する有毒ガスの処理のための費用も、ごみ処理の途中で零れ落ちるわずかなプラごみによる汚染を回復するための費用も、私たちの経済活動が負担しなければならない「コスト」です。そう考えると実は、今のままの仕組みでは、私たちの経済活動が拡大すればするほど、私たちが活用できる資源が減少し、私たちが負担しなければならないコストが増大することになります。

この「今のままの仕組み」は、遅くとも50年後には、はっきりと継続が不可能になるわけですから、それまでの間には、今の「世の中の仕組み」の全体を、大きく変えていかなければなりません。その時の「主役」はもしかしたら、処分場見学に来るという小学生たちの世代になるのかもしれませんが、私たちもせめて、彼らのために少しでも、何らかの“道筋”くらいは立ててあげたいものだと思います。

東京都の環境公社ではこの他にも、様々な見学会のメニューを用意しているようです。私たちが出すごみの「捨てた後」のことまで考えることが出来るよう、参加を検討されてはいかでしょうか。

SKM_C554e19112214560
(POZIプランナー 池上喜代壱)

参考URL:https://www.tokyokankyo.jp/kengaku/ (東京都環境公社)