自然法則から経済のあるべき形を導き出す本書「経済の本質 自然から学ぶ」。対話形式の独特な体裁ですが、読書会ではそのエッセンスをピックアップし、これからの社会のために学ぶべきところを集中的に読み解き、ディスカッションしました。
経済も地球上の人間の活動である以上、自然の法則に則っていたほうが持続可能なはずです。ところが、地球からものを取り出して何かをつくり、価値を生み出し、地球に戻すという自然と調和したサイクルは、今の経済活動ではほとんど重視されていません。無から何かをつくり出すことも、排出をゼロにすることも、いまの技術では不可能なのですから、自然の法則を知り、それに合った経済にしていかないと、持続させていくのは無理があります。あらかじめ自然の法則を意識し、その制約を知っていれば、無駄を防ぎ、環境要因で急にビジネスが止まることを防ぐこともできます。
次に、経済と切り離せない「発展」。本書によると、自然の法則によると、生態系は以下の流れで発展していきます。まず、一般化から分化する流れの中で、複雑性と多様性が生まれます。この発展は単独では起きることなく、発展は常に「共発展」。いろいろな個性がともに生きていることが、発展には欠かせないんですね。
ジェンダー、人種、身分制度、宗教、社会的階級、イデオロギーなどによるさまざまな差別は、新しい一般につながる分化を生み出さないという意味で、発展の基礎をつくることができないのです。いま話題のSDGsでも「平等、多様性」は重要なテーマとなっていますね。あらゆる種類の差別をなくしてくことは、発展のためにも欠かせないといえるでしょう。ダイバーシティは、人道的な意味だけではなく、経済的な意味でも重要になってくるのですね。
ダイバーシティには、と訴訟を避けるといった消極的な取り組み方もありますが、むしろイノベーションのための力になるととらえていくべきなのかもしれません。多様な人たちがいて、多様な場があり、多様な考えを認める環境があれば、自然にイノベーションが生まれる可能性があるのです。
数字の上での経済ばかりを重視するマネー経済はギャンブルのようもので、バブルやリーマンショックのような経済危機をたびたび引き起こします。それに対し、自然法則にのっとったビジネスは、より確実に繁栄する経済と、自然と調和のとれた安定した経済をつくることができます。
単純な話ですが、私たちも自然の一部であり、その輪の中でしか生きることはできません。ビジネスに携わる人たちも、たまにはデスクから離れて、自然と向き合ってみるとよいのかも知れませんね。
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