7月1日から、すべての小売店でのレジ袋の有料化義務化(無償配布の禁止)が始まりました。無駄な使い捨てプラスチックの使用量の削減を通じて、プラごみによる海洋汚染の軽減と、CO2排出の削減へとつなげて行くことを目的とした政策の一つです。
ただ、この「レジ袋の有料化義務化」に対する一般生活者の方々の反応を見ますと、特にCVSでのレジ袋の有料化には抵抗感が強いようで、その意義や必要性が十分に理解されていない様子が見受けられます。中には「小売店の経費削減のため、小売店の金儲けのためではないか?」などと疑う意見もあり、WEB上の掲示板やSNSなどでは、一定の賛同も集まっています。
しかし添付の写真を見ても分かるように、実はプラスチックによる環境汚染は、普段の生活の中では気づいていないだけで、実は私たちの生活空間の、すぐ近くにまで迫っています。プラスチック汚染の問題は遠い外国や一部の地域に限られた話ではなく、実は私たち、一般生活者の暮らしと健康を守ることに直結しているのです。「レジ袋の有料化義務化」に始まる様々な「無駄な使い捨てプラスチック」削減のための努力が、今後、本当に効果を上げるためには、私たち自身が、まずそのことを深く認識する必要があるのではないでしょうか。
しかし「レジ袋有料化義務化」は、それだけで海洋プラスチック汚染やCO2削減に莫大な効果が期待できるという政策ではありません。6/25の『みんなで減らそう レジ袋チャレンジ』の発足式でも小泉進次郎環境大臣が「さまざまな気付きを持ってもらいたい。」と言ったように、むしろ啓発の意義・役割の方が大きいと考えるべきでしょう。その意味では、メーカー各社様や小売企業各社様も、この「レジ袋有料化義務化」に関して単に「有料化が始まった/法律で決められた」ということをご利用のお客様にお伝えするだけで「良し」とせず、レジ袋を有料化する意味や意義にまで踏み込んでコミュニケーションすることで、「使い捨てプラスチック」に依存してきたこれまでの私たちの生活スタイル改善の契機となるよう、心がけていただきたいものです。
私たちPOZIは、現在のように海洋プラスチック汚染の問題が日本の多くの生活者の皆様に意識される以前から、この問題の普及・啓発に取り組んで来ました。2016年には東京都環境局の「海ごみ啓発パンフレット」「ポスター」の制作を行い、その後も機会を見つけては、社内での啓発写真展やクライアント各社様への提案等を続けています。またそのような活動を通じて、日本各地の海岸ごみの実体を記録した写真資料や、現地で実際に集めて来た海岸漂着ごみ・マイクロプラスチックの実物サンプルなどもストックしています。私たちPOZIは、おそらく広告業界でも屈指の海洋プラごみ汚染に関する情報と知見とを蓄えています。
既に述べたように、「レジ袋の有料化義務化」は、決して「これで終わり」ではなく、今後も長期にわたって深刻な被害を生み出し得る海洋プラスチック汚染の悪影響を軽減し、私たちの生活と健康を守る取り組みの「最初の一歩」に過ぎません。これからようやく本格化するこの息の長い取り組みに、私たちが蓄積してきた情報と知見とがお役に立ちそうだとお考えの方は、どのような方でも構いません。ぜひお気軽にお声がけ下さい。私たちは今後とも、無駄なプラスチックの使用を削減することで、生活者の皆様の生活と健康とを守り、同時に、企業の皆様のビジネスを発展させていくことを目指してまいります。
(POZI サステナビリティ・プランナー 池上喜代壱)